金峰山・登山紀行

『日本百名山・登山紀行』

　「金峰山」①（待ち合わせ）



　諏訪湖までの道のりが遠く感じる。

前日のゴルフを欲張ったお陰で大阪から須玉インターまでは一人で運転しなくてはいけない。

たった一人でのロングドライブは、やっぱり寂しいものだね。

　それでも、中央道の飯田あたりでは夏に登った南アルプスの塩見岳を始めとした

明峰達が雪をかぶった姿を見せてくれている。

何だか、雪山を見るだけで心が震えてくるのが我ながら少し可笑しい。

  諏訪湖あたりで長野道と東京方面とに高速は分かれている。

北アルプスへは直進して長野道を北進するが、今回は奥秩父の山が目的地である。

　諏訪湖あたりは標高が５００ｍ程あって丁度紅葉が盛りを向えている。

真っ赤に色づいた木々達が両サイドを通り過ぎて行く。

空は夕暮れを向え淡いピンクに染められている。

  色づいた木々の赤と夕暮れのピンクの空とが同化しながら、フロントガラスの

全面を淡い朱色に染めている。

  右手には雪をかぶった南アルプスが屏風のようにそそり立っている。

左手には憧れの八ヶ岳が恥ずかしそうに頂上部を雲で隠しながらも、雄大な姿を見せ

てくれている。

  そして、正面には甲府側からは始めてみる「富士山」が淡いピンクの空を背景に

まるで蜃気楼のように大きくすそ野を広げた姿を見せている。

  長時間の運転で疲れてはいるが憧れの山々が慰めてくれる。

そして、なによりも、みんなと待ち合わせている須玉のインターまでもう少しなの

だ。

  いつものみんなに、もうすぐ逢える。

そう思うだけで心が軽くなって行くのが不思議だ。

明日、またみんなと一緒に山に登れる。


あ～。

「今夜の酒も、美味い酒になりそうだ」


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