「男体山」・登山紀行

『日本百名山・登山紀行』

　「男体山」①（プロローグ）



　 ”皇海山”の登頂を終え、男体山の登山口に向けて車を走らせた。

途中、コンビニでお弁当を買い、国道１２０号線沿いの満開の桜の下で昼食をと

った。出来合いのスパゲティーやオムライスをむさぼるように食べた。

　更に、尾瀬への道を過ぎ、丸沼高原のスキー場を超えていく。途中、まだ湖畔

が氷結している菅沼を過ぎ、残雪の奥白根山を右手に見ながら金精山トンネルを

抜けていく。

　やがて中禅寺湖が見えだすと同時に、すそ野を大きく広げた男体山が姿を現し

てくれた。

頂上付近は雲で覆われてはいるがその迫力は十分に伝わってくる。

　光徳牧場の分岐で１２０号線と分かれて登山道に向かうつもりだったが、明日

の登山のための買い出しをするコンビニが全くないのだ。仕方なく中善寺湖畔ま

で下り、湖畔の温泉街の食料品店で最小限の買い出しを済ませた。

　後は、裏男体林道を上り、志津小屋登山口へ向かうだけだ。

再び、光徳牧場の分岐に戻り、林道に入る。途中、戦場が原の三本松への分岐を

過ぎて、冬枯れの唐松林の中を一気に登って行く。

林道は荒れたダートを覚悟していたが途中まで、しっかりと舗装されており、苦

もなく登山口に到着することができた。

　登山口には車が２台停まっている。

広いゆったりしたスペースに車を停めることができた。

　午後７時をまわっている。

すでに白い夕闇が迫っていた。

あたりは、不気味なほどに深い静寂が支配している。

夕暮れの空からは、かすかに冷気が降りてくる。雲に覆われた空の闇はずっしり

と重たく感じられる。振り返ると雲に覆われた男体山が静かに明日の挑戦を待っ

ているかのようだった・・・。



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